保険業界の羅針盤 - 未来の働き方 -【第2回】プロセス自動化の増強が処理業務を変える
新型コロナウイルスの拡大、超少子高齢化、自然災害の増加やデジタル技術の革新により私たちの取り巻く社会環境は大きく変化してきている。このような社会情勢の中、保険会社は、デジタル技術やデジタル志向を取り入れることで、自分たちの仕事が劇的に変化することを期待している、ということが当社の調査で明らかになった。これからの激しいデジタル武装拡張競争で勝利を収めるには、プロセスの高速化、データの活用、新たな協力関係の構築が鍵となる。その調査結果から浮かび上がってきた重要なテーマを中心に、弊社の蓄積された業務知識、デジタルテクノロジーの知見や事例を3回に分けて紹介していく。保険会社の変わりゆく未来の働き方について何らかの気づきを皆さまにお伝えできればと願っている。
リアルタイムの世界は、インテリジェントマシンと自動化を要求する
リアルタイムで、柔軟で、顧客の居住地や関心に基づいた保険商品のターゲティングが当たり前になると、リスクの性質とその評価方法が大きく変わる。
- 旅行者が最近はやりの電動スクーターを借りて、よく知らない街を走り回るケースで、保険料設定エンジンは、マイクロ保険のトランザクションをどのようにモデル化すべきか。
- 商業用不動産を扱う保険会社が、従業員の作業スペース付近まで行って健康への影響を監視することにより、職場の保険契約をより良いものにするには、スマートビルディングがセンサーやネットワークカメラで収集したオフィスで働く従業員の行動データをどのように使えばよいか。
- 車両に搭載されたテレマティクスが生成した膨大な量のデータをどのように使えば、ドライバーの運転行動に基づいて保険料をパーソナライズしたり、事故をモデル化して最終的な責任がどこにあるかを理解したりすることができるか。
この作業の複雑さと規模は、私たちの調査に表れている。それによると、人間が実行する作業と、高い処理能力でAI技術などを搭載したインテリジェントマシンが実行する作業を比較した時、後者の割合がますます増えており、特に、データ管理と選別の分野で顕著だ(図表1、注)